大学生フィールドワーカーのブログ

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【令和2年7月豪雨】災害ボランティア派遣を終えて

読者のみなさん、こんにちは!

大学生フィールドワーカーの山口泰輝です。

 

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大分県日田市天瀬町(撮影日:2020年7月7日、提供:大分合同新聞社

 

令和2年(2020年)7月3日から7月31日にかけて、熊本県を中心に九州や中部地方など日本各地で発生した集中豪雨、通称「令和2年7月豪雨」。とくに熊本県を流れる球磨川水系では特別養護老人ホーム「千寿園」において入所者14人が死亡するなど、甚大な被害をもたらした。この災害による人的被害は、8月7日時点で、死者82名、行方不明者4名、負傷者28名となっている(消防庁発表)。

 

今回のブログでは「令和2年7月豪雨」による被災地への「災害ボランティア」派遣における自身の体験をまとめました。「災害ボランティア」って、どんなことするの?大変なの?と思われる方が多いと思います。そんな疑問に答え、「災害ボランティア」をより肯定的に捉えてもらうために、このブログを書きました。読者のみなさんが、ボランティアに参加してみたいと少しでも思っていただけると幸いです。

 

この記事は以下のような人におすすめ!

  • 「災害ボランティア」に興味がある
  • 「災害ボランティア」は大変じゃないのか?
  • 「災害ボランティア」ってどんなことするの?
  • 「災害ボランティア」のメリットってなに?

 

「災害ボランティア」は「誰かのため」だけでなく「自分のため」にもなります。

この意味が少しでも理解していただけるように。

 

 

どこで、どんな活動したのか?

「令和2年7月豪雨」では、メディアでよく報道されていた熊本県だけではなく、全国各地において大きな被害が出た。そのうち、大分県においても河川の氾濫や越水によって、大きな被害を受け、死者も複数出た。大分県では2020年7月7日から8日にかけて、断続的に激しい雨が降り続け、大分市由布市を流れる大分川や日田市を流れる玖珠川などで、大規模な河川氾濫が発生し、建物の床上床下浸水が広範囲で発生した。

 

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一階部分が流されてしまった住宅(撮影地:大分県日田市天瀬町、筆者撮影)

 

私が通っている大分大学では、7月下旬の3日間と8月1日、2日の2日間、「令和2年7月豪雨」による大分県内の被災地への学生及び教職員による「災害ボランティア」を派遣しました。大分大学減災・復興デザイン教育研究センターと被災地の社会福祉協議会との連携によって、玖珠町九重町と日田市天瀬町において、民家の床下の泥出しや橋梁の清掃等の作業を行いました。(大分大学公式HPより一部抜粋)

コロナウイルス感染拡大予防として、県外への移動は控えるという大学側の意向のもと、今回のボランチィア派遣先は大分県内に限るということが、以前から決められていました。つまり、県内の被害は県内の力で対処しなければいけないということです。

 

私は2020年7月26日(日)と8月1日(土)の2日間、大分県日田市天瀬町に「災害ボランティア」として派遣されました。天瀬町大分県の西部に位置しており、大分市からは高速道路に乗って1時間30分ほどかかります。歴史のある温泉地で、観光地として脚光を浴びていました。

 

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大分県日田市天瀬町(引用:地理院地図)

 

派遣1日目である7月26日(日)は、日田市天瀬町において住宅の中に積もった土砂をひたすら運び出す作業を行いました。建物内には予想をはるかに超えるほどの土砂が流れ込んでおり、自然災害の凄まじさを改めて感じる機会となりました。また発災から約3週間経っても、そういった状況であったため、復旧が進んでいない現状を知ることとなりました。

 

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家屋内に流れ込み堆積した土砂(撮影日:2020年7月26日、筆者撮影)

 

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学生らによって運び出された土砂(撮影日:2020年7月26日、筆者撮影)

 

派遣2日目である8月1日(土)は、日田市天瀬町において橋梁と川沿いの歩道の清掃等を行いました。この日はボランティアへの参加者が多く、テキパキと作業を進めることができました。しかしながら作業場への道中、一階部分がすっからかんになってしまった住宅街を歩むごとに、ここでも災害への恐怖心を抱きました。

 

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橋梁上で清掃作業に取り組む学生ら(撮影日:2020年8月1日、筆者撮影)

 

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川沿いに散乱する木々を回収する学生ら(撮影日:2020年8月1日、筆者撮影)

 

 

被災地の状況と課題

以下の2枚の写真は、同じ場所を写したものです。

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天ヶ瀬橋(左:2020年7月7日、右:2020年8月1日)

 

派遣2日目である8月1日(土)に活動場所となった天ヶ瀬橋の写真を見ていただきました。同じ場所とは思えないほど、復旧が進んでいることがわかります。橋梁に引っかかっていた木々が無くなり、抜け落ちたコンクリートも土で埋め立てられ、整地されています。このように人が生活するための最低限のライフラインは、比較的復旧が進められていることがわかりました。私たちも少しは助けになったかと思うと、誇らしいです。

 

しかしながら、復旧が進んでいないところも多く見られました。

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復旧が進んでいない住宅(撮影日:2020年8月1日、筆者撮影)

 

玄関の戸が変形したり、ガラスが割れたり、安心して暮らせなくなってしまった住宅が何軒も見られました。もちろん住民の方は居らず、現在は一時的に公営住宅に暮らしを移しているようです。このように復旧が進んでいるところもあれば、進んでいないところも存在しています。梅雨が明け、本格的な夏が到来していますが、今後は台風による大雨が懸念されます。復旧をどのように進めていくのか、地域住民と自治体との連携が今後の重要な点であり、課題でもあります。

 

つまり、被災地には人手が必要であり、ボランティアが必要なのです。

 

 

災害ボランティアの実際

「被災地には、災害ボランティアとして、約〇〇人が集まりました。」

よくテレビのニュースでは、被災地における災害ボランティアの姿が報道されます。視聴者であるみなさんは、そのような報道を見て、どんなことを感じ、考えるのでしょうか。「大変そうだな」「暑いのにすごいね」「なぜあえて被災地に行くのだろう」数ヶ月前の私は、こんなことを感じていました。みなさんも同じようなことを感じていたのではないでしょうか。

 

しかしながら、実際の災害ボランティアは、私の想像とは全く異なるものでした。

 

ひとつ言えるのは、災害ボランティアは決して大変なことではない、ということです。ボランティアは仕事ではありませんから、無理をする必要はないのです。また大変だと思ったら、誰かに任せたり、協力を求めたりすればいいのです。もちろん灼熱の炎天下での活動は、大変かもしれません。しかしボランティアが派遣先で体調を崩してしまったら、元も子もありません。そのような事態が起こらないために、活動中は過度に休憩をとったり、現地では水分の配布が行われたりしています。基本的に、活動を10分間行ったら、休憩を10分間取ることを意識して、それを何度も繰り返します。また水分補給だけでなく、塩分補給も休憩ごとに行いました。

 

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休憩時間を過ごす学生ら(撮影日:2020年7月26日、提供:大分大学 学生CERD)

 

総じて、活動全体を振り返ると、大変さよりも作業に対する達成感の方が勝り、「楽しい」という気持ちが湧いていたことに気が付きました。活動中はお互いに声を出し合い、まるで祭りのような雰囲気が漂っていました。ボランティア活動に対して、なぜ「楽しい」と感じたのか。その答えは、要素が多すぎて、すべてを書き表すことができませんが、あえて言うのであれば、被災地の方々の感謝の言葉と復旧に携わることができたという達成感だと思います。

 

もうひとつ、私の想像と異なっていたことがあります。それは災害ボランティアとしての女性の活躍です。みなさんの災害ボランティアのイメージだと、男性が住宅の床下の泥を取り出したり、泥を被った家具などを運び出したりする作業が頭に浮かぶと思います。しかしながら災害ボランティアは、それだけが仕事ではありません。女性だからこそできる災害ボランティアが存在しています。それは被災者の気持ちに寄り添ったり、会話をしたりして、心のケアを行うボランティアです。明らかに男性よりも女性に適したボランティアであることがわかります。実際に、今回の派遣ではそのような機会は設けられなかったものの、被災地における女性のニーズは高いと関係者の方がおっしゃっていました。

 

災害ボランティアは男性だけでなく、女性のニーズも高いことがわかりました。

 

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ニーズ調査のため、住民を訪ねる女子大学生ら(撮影日:2020年8月1日、筆者撮影)

 

 

被災地で学ぶ、災害の恐ろしさ

みなさんは、ある災害において被害を受けた被災地を訪れたことはありますか。訪れたことがある読者のみなさんは、そこでどんなことを感じ、何を考えたでしょうか。おそらく自然の恐ろしさを感じ、発災時の様子を思い浮かべたでしょう。私は昨年9月(2019年9月)に東日本大震災で被災した南三陸町東松島市を訪れ、津波の恐ろしさを実感しました。また発災から8年間経っても、復興が進んでいないということも自分の目で確かめることができました。

 

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宮城県南三陸町志津川地区(撮影日:2019年9月23日、筆者撮影)

 

多くの読者のみなさんは、学校での学習やメディア等を通して、災害について学んできたと思います。しかしながらその学びは表面的なものばかりで、実際は現地に行ってみなければ学べないことだらけなのです。それは被災地の匂いや被災者の表情、復旧復興の進み具合などが該当します。

そして、今回の大分県日田市天瀬町における災害ボランティア派遣では、「被災地で学ぶ」ということの大切さを改めて感じることとなりました。メディアの報道だけではわからない、被災地のありのままの姿を見ることには、非常に意義があると考えています。だからこそ、学校教育において体験的な学習を増やし、とくに防災教育については、実際に被災地を訪れ、児童生徒が五感で学ぶ教育体制が確立してくれることを期待しています。

 

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発災直後、濁流によって陥没した道路(撮影日:2020年7月8日、提供:大分合同新聞社

 

 

災害ボランティアの意義と展望

「災害ボランティア」は「誰かのため」だけでなく「自分のため」にもなる。

これが私が考える災害ボランティアの意義です。ここまで「令和2年7月豪雨」における災害ボランティアを体験した私自身が、活動を通して分かったこと、感じたこと、考えたことを大まかに示してきました。活動に参加する前の私の感覚だと、ボランティアは「被災者のため」「誰かのため」に行うものだと思っていました。それはもちろんのことで、被害に遭われた方の補助をするのがボランティアとしての一番の役目です。しかしながら活動を続けていく中で私は、ボランティアが「自分のため」にもなっているということに気づきました。それに気が付いたのは、活動中ではなく、活動後でした。その成り行きを以下で示します。

 

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活動場所に移動する学生ら(撮影日:2020年8月1日、筆者撮影)

 

私はこの2日間のボランティア派遣において、両日ともに大分大学災害ボランティア派遣としてのリーダーを務めました。リーダーと言っても、役目としては全体の誘導や全体への説明、活動中の体調管理等で、とくに大変な仕事はありませんでした。しかしながら初対面の学生らに対して、指示を行うことに関しては、少し抵抗感がありました。その抵抗感に対抗しつつ、2日間やりきることができたこと自体にも意義があったのですが、それ以上にその後の生活において意外な効果が現れてきたのです。それは緊張することが極端に減ったということです。私自身は、恥ずかしながら上がり症なところがありまして、人前で話をしたりすることが苦手でした。今までに何度も人前に立って話す機会があったものの、なかなか改善できない悩みでした。しかし驚いたことにこのボランティア派遣におけるリーダーを経験したことによって、今までは緊張してなかなか話すことができなかった人前で、自信を持って話すことができるようになったのです。つまりボランティア活動は「自分のため」にもなった、大きな転換点となったのです。リーダーを経験したから、そうなったわけで、ではリーダーではなかったら成長はないのか、いやいやそんなことはありません。ボランティアに参加すること自体素晴らしいことなのです。

 

「災害ボランティア」は、あなたを必ず成長させてくれます。

 

「災害ボランティア」はいわゆる「復旧」に対する支援活動だったのですが、今後は「復興」にシフトチェンジしていきます。 その「復興」に学生としてどのように参画していけるのか、私は少しずつではありますが構想を膨らませています。

 

 

おわりに

このブログでは「災害ボランティア」において活動した私自身の体験を書きました。このブログを読んでくださった読者のみなさんの中で、一人でも多くの方が「ボランティアの参加してみようかな」「なんとなくボランティアについて分かった」と思っていただいていたら幸いです。

 

「災害ボランティア」は「誰かのため」だけでなく「自分のため」にもなる。

 

この意義を最後に強調していきます。

 

また書きますね。

 

大学生フィールドワーカー / 大学生巡検人 山口泰

 

《 自己紹介 》

名前:山口泰輝(やまぐちたいき)

年齢:1999年生まれの21歳(大学3年生)

出身地:岐阜県可児市

現住所:大分県大分市

所属:大分大学教育学部(社会科教育)

趣味:フィールドワーク、散歩、アイドル、読書、セーリング、釣り、船舶運転など

行きたいところ:ローマ、両毛、千葉、鳥取、高知、山形など

 

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